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#19 配球の本質
2004年春。
社外クラブに行き始めてから5年、経験者の人たちに、相変わらずパワーやスピードでは負けますが、配球力で補って互角以上に渡り合えるようになっていました。
最初は全く勝てなかった経験者の人たちにも、勝てることの方が多くなってきたのです。
ただ、中級クラスで試合に出るようになって3年以上、結果は振るわず、自分のプレイスタイルに迷い始めていました。
この頃、会社の実業団トップチームの先輩から声をかけていただき、ダブルスを組ませてもらうようになります。
このペアの人は、高身長を活かした攻撃タイプだったため、私が前衛に入った方が、得点力が増します。
私が後衛に回っても得点するのに苦労するため、前衛をやらざるを得なかったというのが正しいかもしれません。
積極的に前衛に入るようになると、相手と駆け引きする場面が増えます。
幸運にも、これが私の配球力をもう一段引き上げるきっかけとなりました。
私が前衛で、いかに攻撃を継続できるよう配球できるかが勝敗のカギを握ります。
相手からの速いレシーブはストップし、ネット際に逃げて来たら決定機を作り出す。
相手に前衛と勝負したくない気持ちにさせ、球を上げさせる場面が増えたら、ペアの人の攻撃力もますます活きてきて理想的です。
最初はなかなか理想通りにいきませんでしたが、相手との駆け引きをしていた時、ふとあることに気づきます。
相手がレシーブする時の打点によって、返球の種類が決まっているのです。
ペアの人が角度のあるスマッシュを打ち、相手の打点が下がれば、奥へ上げて来るか、ネット際へ逃げてきます。
レシーブの打点が高くなるほど、ドライブ気味の返球が増えて来ます。
また、レシーブが遅れて詰まった感じになった時、つまり体の近くでレシーブした時は、強い球は返って来ません。
相手の打点がわかれば、球種を絞って待つことができる
当然、打つ瞬間まで打点はわかりませんが、スイング軌道を見ていれば、打つ前にある程度打点を予測できることに気づきます。
それに気づいてからは、徹底的に相手のスイングを見るようにします。
奥まで返そうとしたり、ドライブ返球をしようとすると、少しスイングが大きくなることにも気づきます。
体の向きやスイングの方向を見ることで、早い段階からある程度返球コースを予測できることにも気づきます。
こういう細かいところを意識しながら練習を続けていると、だんだん予測が当たるようになってきました。
そしてついに重要な結論に達します。
配球の本質は相手の打点をコントロールすることだ
打点が高いか低いか、体に近いか遠いかで打てる球が決まる
相手の打点をコントロールすれば、返球の種類とコースをある程度コントロールできるはずだ
詰め将棋とまではいきませんが、こう配球すればこういう返球が来るからそこを仕留めるということが、ある程度はできるはずだと確信したのです。
打点によって、打てる球が限定されます。
打点が下がるほど、打てるショットの選択肢は減ります。
同様に、打点が体に近くても、打てるショットの選択肢は減ります。
だから、相手の打点がわかるようになると、返球予測が当たるようになります。
逆に言うと、打点をコントロールできれば、決定機を増やすことができるということです。
配球力を上げたい方は、ぜひ打点を意識してみて下さい。
今回はここまで。
次回は、最終回、"結実"です。
#20 結実
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