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#10 相手の逆をつく
レシーブの場面でもできるだけ低く速い球で返したり、クロス側への返球も混ぜることを意識して練習すると、だんだん攻撃される場面が減り、その分、上から打てる場面が増えてくるようになりました。
その頃の私は、経験者と比べるとスマッシュが遅かったこともあり、スマッシュから得点に繋がる場面がほとんどありませんでした。
スマッシュを改善するために、他の人たちのスマッシュを徹底的に研究します。
やはり思った通り、スマッシュでも効く配球と効かない配球があるようです。
スマッシュがいくら速くても、コースが悪いとカウンターを食らっています。
逆にそれほど速くないスマッシュでも、コースが良ければ、甘い球が返ってきています。
私はそれまでスマッシュを全力で打っていましたが、遅いスマッシュをさらに遅くしてでも、コースを優先するようにしてみます。
スマッシュは決めるためのショットだと考えるのをやめて、相手を崩すために使うショットだと意識を変えてみたのです。
実際にやってみると、簡単に相手を崩すことはできませんが、少なくともスピードよりも角度を意識した方が厳しく返球されにくくなることに気づきます。
正面の相手に打つにしても、左右のコースを打ち分けた方が厳しく返球されにくくなります。
スマッシュでの配球を強く意識するようになってから上級者と対戦すると、それまで気づかなかったことが見えてきます。
上級者のスマッシュは、コースを左右高低少しづつ変えて打っている、速めのスマッシュと遅めのスマッシュを使い分けて微妙にコースをずらしている、しかも同じフォームで打つのでコースがよめない。
そして一番驚くのが、直感を裏切る球が飛んでくることです。
普通の経験者相手には、どんな球質のスマッシュがどこに来そうかというのが、打つ直前にある程度はわかるような感覚があります。
上級者には、それがないどころか、予想の逆を突かれる感覚があるのです。
バック側に来そうなのにフォア側に来る、低めに来そうなのに高めに来る、コート中央側に来そうなのにサイド側に来る。
この差は何なのか?
まるで上級者には対戦相手の心の中が見えているようです。
なんでこんなことができるの?
この答えがわかるのは、まだ先になります。
相手を前後左右に振ることだけを配球だと思われていた方も少なくないでしょう。
シングルスはさておき、ダブルスの場合は相手が2人いるため、長い距離を走らせることはほとんどできません。
相手のレベルが上がると、振るように動かすだけでは、なかなか崩せなくなります。
コート半分程度の狭い範囲の中で、高低や左右を打ち分けたり、スピードに変化を付ける配球テクニックが必要です。
配球の選択肢が少ないほど、相手に予測されやすくなり、厳しい返球をされてしまう場面が増えてきます。
相手の逆を突いたり、簡単に山を張られないようにするために、スマッシュに限らず、どんな種類のショットでも、配球の選択肢を増やすようにしましょう。
今回はここまで。
次回は、"実戦経験を積む"です。
#11 実戦経験を積む
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