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- 【バドミントン上達コラム】徹底解説!内旋、回内、握り込みを使ったフォアハンドの打ち方
バドミントンには、良いとされる決まった打ち方(基本の打ち方)があります。
それは、上手い人がこうやって打っているからとか、経験上うまくいくからといった、精神論的なものではありません。
強くて正確なショットの打ち方には、回転運動を中心とした物理に基づく理屈があります。
物理のメカニズムを無視して我流で打っていると、いつまでたっても上達しないばかりか、変な癖がついてしまい、良い打ち方に矯正するのに時間がかかることもあります。
正直なところ、基本の打ち方といっても、複数の高度な技術が組み合わさった打ち方のため、けっこう難しいです。
最初はラケットにちゃんとシャトルが当たらないかもしれません。
でもご心配なく。コツさえ掴んでしまえば誰でもできるようになります。
これからバドミントンを始めたい方、まだ経験の浅い初心者の方、ご自身の打ち方に疑問をお持ちの方は、ぜひこのコラムをご一読下さい。
バドミントンの打ち方には、フォアハンドとバックハンドの2種類ありますが、このコラムでは、フォアハンドの打ち方を解説します。
ポイントは、正しい握り方で内旋→回内→握り込みの順にスイングすることです。
内旋【ないせん】とは、上腕(肩から肘の間の部分)を内側へ回す動作のことです。
身近な例で言うと、腕相撲の腕を内側に倒す時の動作です。
回内【かいない】とは、前腕(肘から先の部分)を内側へ捻る動作のことです。
身近な例で言うと、右利きの人がドライバーを反時計回りに回してネジを緩める時の動作です。
内旋により前腕が回り、回内により手(手首から先の部分)が回ります。
回内と内旋を合わせて回内だと勘違いされている方も多いですが、ここでは、回内と内旋を厳密に区別します。
握り込みとは、ラケットのグリップをギュッと握り込む動作のことです。
内旋、回内、握り込みをマスターすると、腕だけでも強烈なショットを打てるようになります。
この3つの技術にフォーカスするために、上半身だけを使った強く正確なショットの打ち方をご紹介します。
それでは、連続写真を使って、スイングのポイントを見ていきましょう。
(※ラケットヘッドの動きがわかりやすいよう、極端にシャフトの短いラケットを使っています。)
(1)内旋でスイング開始
ラケットはイースタングリップで軽く握り、初めからリスト(手首)を立て、前腕とラケットシャフトの間に角度をつけておきます。
多少個人差はありますが、この角度は100度くらいが目安です。
90度に近づけすぎると、手首や前腕に力みを生じやすく、スイング速度を落とす原因になります。
逆に、角度を大きくしすぎると、この後の回内動作時に、ラケットヘッドの回転半径が小さくなり、パワーロスします。
力まないようリラックスし、内旋動作にてスイングを開始します。
肩や手の筋肉が固くなると、ラケットが走らなくなりますので、力まないよう注意しましょう。
(2)ラケットを加速させる
上腕を内側に回す(内旋する)ことで、肘を中心にした前腕の回転運動で、ラケットヘッドが加速されます。
スイングに合わせて肘を前へ動かすと、グリップが加速するだけで、ラケットヘッドは走らなくなりますので、肘を動かしすぎないよう注意して下さい。
正しくリストスタンドできていると、写真のようにグリップエンドが前を向きます。
(3)回内開始直前
ここまでは、まだ内旋動作しか行っていません。
一つ前の写真と比較すると、内旋動作により、肘から先が加速されて前へ出て来たのがわかると思います。
写真では、ラケットの面がわかりづらいですが、手のひらが内側を向いているので、ラケットのフォア面が内側を向いています。
この時点でラケット面が相手に見えていると、回内で打つことができません。
(4)回内開始
ラケットヘッドが肘を追い越すあたりで回内を開始します。
この時点でラケットを強く握っていると、回内のスピードが落ちます。
ラケットを強く握るのは、この後の「握り込み」の一瞬だけです。
(5)回内動作中
肘を中心にした前腕の回転は継続したまま回内動作を追加し、肘から先を内側へ一気に捻ります。
手を中心にした外側から内側への回転が加わり、ラケットがさらに加速します。
写真では、回内により手のひら側が少し見えてきています。
回内を意識しすぎて、内旋動作を止めないよう注意しましょう。
<ここがPoint!>内旋動作を継続したまま一気に回内する
(6)握り込み
ラケットヘッドが手首を追い越す当たりでラケットをギュッと握ります。
この握り込みにより、ヒット直前に、さらにラケットヘッドが走ります。
握り込みを意識しすぎて、内旋動作と回内動作が緩まないよう注意しましょう。
(7)ヒット
ラケットのフォア面が正面を向く瞬間に合わせて、ラケットヘッドの真ん中付近(スイートスポット)でシャトルを捉えます。
ヒットのタイミングが早すぎたり、遅すぎたりするとスイートスポットを外れ、シャトルが狙ったところへ飛びません。
写真では、ラケットヘッドがぼやけるほど、一気に加速されていることがわかります。
慣れるまでは、ヒット率を上げるために、ヒットの瞬間までシャトルを見続けるようにしましょう。
(8)ヒット直後
写真ではわかりづらいですが、ラケットのフォア面が外側を向きます。
回内が甘く、ラケットを押し出すような打ち方になっていると、ラケット面が外側を向きませんので、チェックしてみて下さい。
(9)回内終了
ラケットのフォア面が完全に外側を向いたあたりで、自然と回内動作は止まります。
無理に止めようとすると、腕が力んで、次の動作への移行がスムーズにできなくなります。
正しく回内動作ができていると、(4)〜(9)の写真のように、手を中心に、正面から見て時計回りにラケットが回ります。
(10)握り込みをやめる
回内が終わると同時に、握り込みもやめます。
握り込みをやめることで、スムーズに次の動作に移ることができます。
強く握り続けると、ラケットを振り抜けず、バランスを崩しやすくなります。
(11)フォロースルー
腕や手の力を抜いて、自然に振り抜き、フォロースルーをとります。
回内によりラケットヘッドが外側に振られる反動で、手には逆向き(左方向)の力がかかりますので、そのまま振り抜きましょう。
無理にフォロースルーを止めようとすると、シャトルをヒットする前からスイングにブレーキがかかり、パワーロスしますので、注意して下さい。
(12)スイング終了
ラケットヘッドが体の左側に来たあたりで自然とスイングは止まります。
体の左側まで振り抜く意識でスイングすると、スイングの緩みを抑えられます。
(1)〜(12)の写真のように、ラケットを握る手が体の後ろから前へ、綺麗な円弧の軌跡を描くと、パワーロスを抑えられ、コントロールも安定します。
ヒットするまでの間、肘の移動を抑えることで、こういう軌道が可能になります。
まとめ
1回のスイングに、たくさんの高度な技術が隠されていることが、おわかりいただけたと思います。
最初は、全部を同時に行うのは難しいので、内旋→回内→握り込みと、焦らず一つずつ順を追って練習してみて下さい。
下半身の動きも含めたフォアハンドの打ち方は、こちらをご覧下さい。
【バドミントン上達コラム】徹底解説!オーバーヘッドストロークの打ち方
このコラムの筆者:川崎智(バド福代表)
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